とある総合病院の外来で。
「お待たせしました。◯◯さん、どうぞ。」
そういって診察室へ患者さんを案内します。杖を突きながら高齢の女性が入ってきました。
「今日はどうされましたか。」
「はぁはぁ、よいじゃない。腰が痛くて。嫌になっちゃう。」
「腰痛で困っているんですね。」
「そう。」
「いつからですか。」
「これは旦那が亡くなって家の整理をしてた時くらいから。重たいものを持ったせいねぇ。」
「それはいつですか。」
「いつだったかしら。姪御が桃を買って持ってきてくれた時だったと思う。」
「(それでいつのことか分かったら超能力者だよ。いつやねん。)それはいつですかねぇ。」
「まだ暑かったと思うわ。」
「じゃあ夏の前後ってことでいいですかね。(発症時期幅広いけどいいか)」
「そうね。」
「では昨年の夏頃、重たいものを持ったことをきっかけに腰痛を発症したということでよろしいですか。」
「はい、はい、そうです。」
「何か持病はありますか。」
「持病ってことは特にないけど。血圧が高めだって言われたかしらねぇ。でもそれくらいよ。」
「高血圧ですね。」
「手術したことはないですか。」
「ないです。」
「あれ、でもお腹にキズがありますね。」
「ああ、これは昔のよ。手術は盲腸と帝王切開。でも盲腸は小学生の時だから。」
「(あるじゃねぇかっ。)昔の話でも言われたことある病気や手術は全部教えてくださいね。ほかはどうですか。」
「これだけです。」
「(本当だろうな。)わかりました。ではアレルギーはありますか。」
「昔抗生剤の点滴で気持ち悪くなりました。」
「なんという薬かわかりますか。」
「さぁ、お薬の名前は忘れちゃったわ。でも抗生剤よ。」
「(抗生剤と言っても色々あるんだよ。そんなこと言ったら一生抗生剤使えないじゃないか。)覚えていないですかねぇ。」
「うーん、わからない。」
「そうですか。では、どこで言われたかは覚えていますか。」
「確か、◯◯病院で点滴したときだから、◯◯病院で言われました。」
「わかりました。(直接問い合わせてみるか)」
「では飲んでいる薬を教えてください。」
「えーっと、アムロなんとか。」
「アムロジピンですね。」
「そうそう、それそれ。」
「あとはなんだったけな。朝飲むやつ。小さめの粒の。」
「(粒の大きさとか色を言われてもわかんないよ。)あっ、じゃあもう、お薬手帳見せちゃってください。」
「ああ、はいはい。これです。」
「拝見しますね。えーっと、アムロジピン、バルサルタン、フロセミド、カロナール、エソメプラゾール、デエビゴ、エリキュース、ロスバスタチンっと。色々飲んでいますね。(降圧薬、利尿薬、鎮痛薬、胃薬、睡眠薬、血液さらさら、コレステロール、結構飲んでるじゃねぇぁ。高血圧だけじゃないだろこれ。)」
「そうなんです。」
「(そうなんですじゃないよ。)えっと、血液さらさらとかはどうして飲んでるんですか。脳梗塞とか言われたことあります。」
「ないです。」
「そうですか。不整脈かな。処方元はXX病院ですね。こちらから問い合わせてみますね。」
「現在通院先はこのXX病院だけでいいですか。他にも行ってたりしますか。」
「あとね、●●先生のところも行ってるのよ。おしっこに何度も行きたくなっちゃって、そっちの方で見てもらってるの。」
「そうなんですね。(過活動膀胱かな。)そちらでは何か薬をもらっていますか。」
「ええ、1種類もらってます。」
「なんていう薬でしょうか。それはお薬手帳に貼ってないですか。」
「ええ、そっちは貼ってないです。」
「(なんでだよー。)でもまぁ、1種類ということですね。ええっと、泌尿器の薬と(カルテに書く)」
「そうです。」
「では診察しますよ。腰のこのあたりですか。」
「はいそうです。」
「叩くとどうですかね。(どんどん。)
「ちょっと痛いですね。」
「うーん、圧迫骨折かも知れませんね。レントゲンを撮ってみましょう。」
(レントゲン後)
「圧迫骨折ですね。いつから骨が潰れているのか正確には不明ですが。内服薬が増えてしまうのでまずは副作用の少ない湿布にしましょう。」
「わかりました。先生、ところで。」
「えっ、なんでしょう。」
「今日は息切れで診てもらいに来たんですけどそっちはどうなんでしょうか。」
「えっ、今日は腰痛で来たんじゃないんですか。だって、腰が痛いって。」
「腰も痛いです。でもここ何日かちょっと動くだけで息切れしちゃってよいじゃなくって。」
「(主訴息切れかよー。)そうだったんですか。」
「先生、この息切れは歳のせいですか。」
「ああ、そうだと思いますよ。(あれっ、そういえば頸静脈が目立つな。利尿薬を飲んでいたし、もしかして心不全。胸のレントゲンも追加だ。聴診もして、心電図も見ておくか。心不全っぽかったら循環器内科にコンサルトしよう。でも、もうこんな時間か。コンサルトの時間過ぎてるじゃん。うわーーーーーーー。」
3時間待ちの3分診療と揶揄されます。私も人間ですから受診者側に立つことがあります。待ちますよねぇ。時間を潰すものがないと辛いですよね。半日は潰れる覚悟がないと病院へは行けないし、大学だと1日がかりですよね。わかります。
もちろん医療機関側にも問題がありますが、診察時間が延びるのは患者さん側にも原因があるかもしれません。1人1分ずつ診察が伸びれば、後半の人は20分、30分と待ち時間が増えます。患者さんが多い医療機関になればなるほど、1人1人の診察時間ののびが蓄積してのしかかります。
「そっちの問題だろ。そっちはプロ、こっちは素人なんだから。」
もちろんです。問診の上手下手はあります。
このブログの目的は最終的に世の中が良くなることです。外来の待ち時間が減ればみんなのストレスが減るかもしれない。1本早いバスで家に帰れるかもしれない。職場を抜けて受診した人が早く職場に戻れるかもしれない。世の中を良くするために、ちょっと協力してくれませんか。(後半に続く。)