「抗生剤は明日も続けますか。」
一緒に患者を担当している研修医からそう聞かれます。この無垢な質問に上級医であるあなたはなんと答えるでしょうか。
研修医指導をしていて最近思ったことについて書きます。
仮にこんな会話が続いたとしましょう。
「そうだね、まだ継続だね。」
「わかりました。オーダー入れておきます。」
「ありがとう。よろしくー。」
なんて気が利く研修医でしょうか。上級医も助かります。
優秀ですよ。
お手伝いさんとしては。
辛辣な言い方になってしまいすみません。ただ、私はこのやり取りでは研修医が成長しないと思うのです。抗生剤はなぜ継続で、どうなったら終了なのでしょうか。この研修医は気が利くし仕事も早いのだと思います。ただ、研修医としての学びはどうでしょうか。自分が主治医になった時、どういう判断で抗生剤を始め、継続し、終了するのでしょうか。
上級医に相談する前に一度自分で考えてください。数学と同じです。答えも大事ですが、思考過程が大事です。思考過程も添えてプレゼンするのが良いと思います。そうすれば“ものの考え方”がわかります。
「まだ炎症反応も下がりきらないですし、微熱が継続しています。明日も抗生剤継続しようと思うのですがそれでいいですか。」
そのように伝えれば、上級医も「ちゃんと考えているな」とわかりますし。訂正されなければ自分の考え方間違いでないとわかります。
「CRP1まで改善しました。熱は下がりましたが、まだ炎症反応が陰性化していないし、明日も抗生剤継続でいいですか。」とちょっとずれたプレゼンをしたとしましょう。間違っていれば、「必ずしもCRP陰性化を目指さなくてよいよ。熱も下がっているし、本人の調子も良さそうだからここでいったん抗生剤を終了してみよう。CRPは便利だけどあくまで目安、参考程度に考えて。一番大事なのは患者さんの症状だったり息づかいだったり、ベッドサイドで直接診たものなんだよ。」と訂正されます。ここで上級医の、臨床医としての思考を学ぶことができます。
間違ってもいいので自分の考えも話しましょう。最初は知識も経験もないですから、回答が明後日の方向を向いているかもしれません。みなさんは基本的に地頭が良いのですから直されているうちに、「こんなふうに考えるんだ」という思考過程が身についていきます。
「抗生剤継続ですね。はーい、オーダー入れておきます。」だと仕事上は助かるのですが、いつまでたっても成長しないのです。
オーダーの理由、判断の根拠を考えてください。