雑記

監督はすごい人だった

小学生の時、地元の野球チームに入っていました。昔の話ですから、暴力、罵声は当たり前。髪型も坊主強制の時代です。

監督はとても怖い人でした。試合で腑抜けたプレーが続くと、「タイム」をとって選手を集め、片っ端からビンタをして気合を入れたりしました。

子どもだったのでよく知らなかったのですが、監督は自動車関連の仕事をしていたようです。平日の放課後小学校のグランドに来て野球を暗くなるまで教えていました。土日は試合です。どうやって時間を作っていたのか、仕事や家族のことはどうしていたのかわかりません。奥さんと子どもはいました。

監督は野球狂でした。子どもたちが大会で勝ち進んで、仕事に行けなくなった場合は嘘の忌引を使っていたようです。

子どもだったので真偽は不明ですが、「まったく。お前らのために何人身内を死なせたかわからないよ。わははははは。」と言っていたのを覚えています。

指導の仕方は今から考えると前時代的なのかもしれませんが、本当に野球と子どもが好きだったのだと思います。怒鳴ったりぶったりはありましたが、野球が上手い、下手にかかわらず子どもをかわいがっていました。手がかかる子ほどかわいかったようです。

監督が保護者の前でよく言っていたセリフを覚えています。

「試合に勝ったらこいつらが頑張ったんだ。だから褒めてやってほしい。試合に負けたらその時は、俺が悪いんだ。」

子供の頃はそんなもんかと思っていましたが、社会人になって監督の偉大さがわかりました。こういうセリフが言える大人(上司)ってどれくらいいるでしょうか。私はほとんど出会ったことがありません。

監督はもう鬼籍に入っています。私もそういうことが言える上司になりたいと思います。

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qqbouzu
地方で救急科医として働いています。