「当たり前のことを当たり前のようにやる。」これを積み重ねることが、安定して良い結果を得るために必要なのだと思います。
上級医にとって当たり前のことが、研修医にとって当たり前ではなかったりします。
タイトルのとおりですが、患者さんの身体の上に針を置かないで下さい。例えば縫合のときやCVを固定する時です。持針器を持って皮下に糸を通した後、その針を掴んだままの持針器をどこにおいていますか。患者さんの身体の上に置く人がいます。これは絶対NGです。
理由は単純です。針がドレープ(覆い布)を突き破る可能性があるからです。患者に針が刺さるリスクがありますし、突き破った瞬間針先は不潔です。
なんで、針を人の体に置いてしまうのだろうと思うのですが、おそらく、処置の時はドレープがかかっており、患者さんの体が見えないので、人の上に針を置いているという感覚がなくなってしまうのでしょう。まだ処置に手一杯で余裕がないことも一因です(残念ながら上級医でたまにやっちゃっている人もいますが)。
針は原則、清潔野のトレーに置くのが正解です。縫合セットやCVセットには必ず固くて針が突き抜けないトレーが入っています。針に限らずメスなど鋭利なものはそこに置きます。テーブルにドレープを敷いただけのところに針を置くのもよくありません。針がドレープを突き破って不潔になる可能性があるからです。
外科研修で手術に入ったときに見てみてください。針は術野で使われた後、患者の体に置かれることは決してありません。器械出しの手に持針器ごとわたり、器械出しの手元のトレーの上に置かれます。
これまであまり意識していなかった人は意識してみてください。小さな当たり前をこつこつ積み上げていきましょう。