雑記(医療関連)

風邪は1週間くらい

病気は突然襲ってきます。朝起きたら頭痛がするとか喉が痛いとか誰でも経験があるのではないでしょうか。

病気は急にやってくるのに、治るのはすぐではありません。インフルエンザに感染したら数日は熱や倦怠感が出ると思います。風邪をひいた人で、咳症状が長引く人もいますよね。

慢性的な頭痛持ちの人やときたま風邪をひく人など、病気との付き合いがある程度あれば、こんな感じで回復するという“相場感”があります。もちろん、患者さんを診療している我々もそういった相場感が養われていきます。

入院するときに、よく入院期間を聞かれます。おおまかにでも答えられるのは相場感があるからです。

非医療者に相場感を持てというのは土台無理な話なのですが、乖離が大きすぎると、困惑することがあります。

例えば、こんなケースです。

「昨日熱が出て近くのお医者さんにかかって、インフルエンザって言われたんです。薬のんだけど熱がまだ下がらなくて来ました。」

→熱が下がらないのは心配でしょうけどインフルエンザなんて昨日の今日でよくなりません。おうちで休んでいてください。

「一昨日から喉の違和感と咳が出て咳止めをもらったんですけど咳が止まりません。」

→そんなぴたっと止まらないです。

インフルエンザも含めて風邪ならば1週間は様子をみてください。特に咳は2-3週間引きずる人もいます。辛い症状を取って欲しいという気持ちはわかります。ただ、薬もそんなにパワフルではないです。

それと、症状が良くならないからと行ってまた別の病院を受診するのはやめてください。時間経過を追っていくうちに病気がわかったり、治療への反応性で診断の目星がついたりすることがあるからです。ドクターショッピングをしている限りそういったことがわかりません。新しい病院ではまた一から問診を取りなおしたり、検査をしなおしたり非常に非効率です。

先日も、「別の医療機関で咳止めをもらって昨日飲んでみたが、まだ咳がでる。」という患者さんがきました。

「うーむ」と思いましたが、症状を多少和らげても短時間で症状が消失するわけではないことを説明して帰宅していただきました。こういった場合、薬が出ていればそれを継続するように伝え、もともとかかった医療機関へまた行くように言います。症状が強いとか、納得していなさそうな場合は上乗せ処方をすることもありますが、たいていは、必要な薬がすでに出ています。薬をたくさん盛ればいいというわけでもありません。(一部の患者さんウケは良いかもしれませんが)

感染症の基本は“自分の免疫で治すこと”です。

私が風邪の患者さんに、「早く治すための裏技はありません。症状を和らげるための薬をお出ししますが、基本的には自分の免疫で菌やウイルスをやっつけることです。ありきたりですが、体をやすませる、栄養をしっかりとる、規則正しい生活を送り睡眠時間を確保するといったことが大事になります。」と説明します。

栄養と休養です。

そう、裏技はないんです。正攻法で行くしかありません。

裏技的な治療法を勧めている人がいたら怪しいです。たまに、ネット記事で「病院では教えてくれない〇〇の治し方」という文言を見かけますが、怪しさMAXです。

医療機関を受診しなくても、症状が改善傾向ならばそのまま様子見で良いでしょう。改善傾向ならばあとは時間が経てば良くなります。

忙しい現代人、仕事や子育てなど眼の前にやらなくてはいけないことがたくさんあると思いますが、病気の時くらい自身の体も労ってあげてください。

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qqbouzu
地方で救急科医として働いています。