医療ドラマと刑事ドラマってなくならないですね。やっぱり、文字通りドラマティックで見ちゃうからでしょうか。私は医療ものに限らずドラマは全く見ないのですが、最近は研修医を主人公にしたドラマがやっているそうですね。
これまでは外科系、救急系がメインだったと思います。慢性期よりは急性期の方が劇的ですからね。命に直結する場面の方が受けが良さそうですよね。
前に救急系で流行ったのは“コード・ブルー”ですかね。
僕は見ていないのですが、山ピーがドクターヘリで現場へさっそうと駆けつけたり、現場で緊急開胸したり、テレビですので派手なシーンが盛り込まれていたのだと思います。救急医かっこいいですよね。
ドラマに大人げないツッコミを入れる気は毛頭ないのですが、かっこよすぎると現場とのギャップがありすぎて複雑な気持ちになります。
救急系のドラマってかっこいいんですけど、実際の救急ってもっと全然泥臭くて、今度はそういうところを描いてくれないかなと思います。
例えば、救急車を受け入れて診断をつけると各科の先生に連絡します。こういう患者がいるので診て欲しいと頼むわけです。頼む立場と頼まれる立場はどちらが強いでしょうか。
私に限らず全国(全世界?)の救急医は各専門科の先生に頭を下げていると思います。
「お忙しいところすみません。」
「夜分遅くに申し訳ありません。」
「今、〇〇な患者の収容依頼が来ていますが対応可能でしょうか。」
「先生にご相談がありまして。」
急患案件は相手の仕事のペースを乱します。救急医が頑張れば頑張るほど他科の負担が増えます。けが人、病人は発生してしまうので仕方ないことなのですが、相手も人間ですからその時の状況によっては陰性感情が湧くこともあります。
コンサルトの時、電話越しに相手の嫌ない思いが伝わってきます。
もちろん、我々の初療の質やプレゼンの仕方によるところもあると思います。しかし、救急が好きな人ばかりではないのです。医者になるまでの動機、医者になってからのモチベーションは人それぞれです。
頼まれるより、頼むことのほうが圧倒的に多い救急医。やりがいもありますが、嫌な思いをすることもあります。特に若手の頃はそうです。
緊急開胸したり、重症病態に果敢に挑んだりするのも救急医ですが、初期対応しつつ、患者が早期に適切な治療を受けられるように関係各所に頭を下げるのも救急医です。
泥臭い救急医もいつか描いてほしいです。