救急外来には様々な患者がやってきます。入院か帰宅か短時間での判断が求められます。救急外来が立て込んで患者が停滞してしまうと悪循環に陥りますので患者のdispositonを速やかに決定する必要があります。時間を意識して診療を行ってほしいと思います。効率の良い時間の使い方をするために、“物事を並列に進める”ことを意識してください。
具体例を上げます。
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35歳男性、朝突然発症した左腰背部痛。
研修医「尿管結石を疑っています。エコーで左の水腎症があると思うのですが、ちょっと自信がなくて。CTも撮影したいと思います。」
私「OK、結果が出たらまずは自分で読影してまた報告してください。」
(CT後)
研修医「CTで尿管結石がありました。5mm程度なので自然排石が期待できそうです。」
私「そうだね。で、このあとこの患者さんはどうする。帰れそうかね。」
研修医「帰宅で良いとは思うのですが、まだ痛みが強く歩くのはしんどそうです。痛み止めを使って少し楽になったら帰宅にしようと思います。」
私「そうだね・・・。」
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分かりやすい尿管結石の患者さんです。救急外来での対応はeasyだと思います。
普段、研修医とやり取りしながらできるところは彼らに任せていますが、時間がかかってしまうこともあります。
上の例では、最初から痛み止めを使っておけば良いと思います。ルートを取っていればアセトアミノフェン(アセリオ®)を落としながらCTに行けば効率的です。検査中にぽたぽたと薬が入り、治療介入(対症療法ですが)を始められます。検査結果が出て、読影が終わった頃には点滴が終わり、症状も緩和されています。その後の病状説明や帰宅への準備もスムーズです。
検査と鎮痛を直列ではなく並列で行うのです。
原因が何であれ、痛みは辛いので取ってあげましょう。原因精査とそれに対する直接的な治療介入も非常に重要ですが、つらい症状を和らげて上げることも重要です。
並列思考は他にも使えます。
紹介状を書くときは、先に添付用の画像を準備するように指示しておきます。
カルテを完成させる前に、処方箋を発行して渡してしまいます。
処置を要する擦過傷があれば、画像検査の前にキシロカインゼリーを塗って被覆しておきます。
こうした小さな積み重ねが救急外来滞在時間をぎゅっと縮めてくれるのです。
タイムマネジメントを意識して見てください。