「問診なくして鑑別なし、鑑別なくして検査なし、検査なくして診断なし、診断なくして治療なし、治療なければ病は癒せず、病癒えねば人は救えず」
例外はあるでしょうが、原則は上記の通りです。鑑別、挙げられていますか。
後輩たちには「1に鑑別、2に鑑別、3.4がなくて5に鑑別」ととにかく鑑別を挙げさせています。鑑別がないことには検査も組めないからです。そして鑑別をあげるためには、「今日はどうしましたか」から始める問診が非常に大切です。今回の受診にいたるストーリー(=現病歴)を念入りに聞くところから始まります。とりあえずビールのノリで”とりあえずCT”はご法度です。
鑑別を上げたら次にやらなくてはいけないことがあります。それはの鑑別の順位付けです。
痩せ型の20歳男性が胸痛と息苦しさを訴えて救急外来に来ました。鑑別として気胸、心筋梗塞をあげたとしましょう。どちらの方がより鑑別の上位に来ますか。つまり、どちらが方が痩せ型若年男性に起こる疾患としてまず疑うのに妥当でしょうか。
気胸ですよね。であれば、心電図よりもレントゲンを先に見たくなります。
鑑別を挙げるとは可能性を挙げること。鑑別を上げたら、次はその妥当性を考えます。
妥当性の低い疾患から考えてしまうことを”シマウマ探し”といいます。蹄の音を聞いたらウマが近づいてきたと思いますよね。それをあえてシマウマだろうと予想するのです。可能性はありますが、そこはより身近にいる”ウマ”で良いだろうと思います。
高血圧、糖尿病の既往がある中年男性が救急外来に搬送されたとき、重症筋無力症の可能性を考えるでしょうか。なるほど、確かに診断されていない重症筋無力症があるかもしれません。初回発作なのかもしれません。可能性はないとは言えません。
しかし、妥当性は相当低いでしょう。鑑別を挙げることは重要です。鑑別を挙げるとは可能性を考えること。鑑別(可能性)はたくさん考えられたほうが良いです。多角的に物事を考え、鑑別をたくさん挙げるトレーニングをしてください。そして可能性を考えたら次は妥当性を考えてください。
そうすれば、日々の診療がブラッシュアップされると思います。