鼻血がなかなか止まらず救急外来を受診する方がいます。医療従事者は血をみることにある程度慣れていますから驚きませんが、出血がかさむと一般の方は心配になってしまいます。中には救急車で来院する方もいます。実際出血しているわけですし、不安な気持ちもわかりますが、鼻出血で大事に至ることはほぼありません。基本的な対応を知るだけで時間外の受診を減らすことができます。
そもそも、どうして鼻血がでるのでしょうか。多いのは鼻をぶつけたとか、ほじってしまったと場合です。あとはアレルギー性鼻炎で鼻粘膜に炎症がある場合です。私は花粉症なので、鼻がむずむずしたときに強く鼻をすすったり、かんだりしたさいに鼻出血することがあります。高血圧や糖尿病、血液さらさらのお薬が影響することもあります。
対応ですが、椅子に座ってうつむき、小鼻(鼻の軟らかい部分)を5-10分つまむことです。血液さらさらのお薬を飲んでいる方は+10分で考えてください。
このとき、血液を飲みこまないようにしてください。気持ち悪くなって嘔吐することがあります。垂れてくる鼻血を飲んでいたら嘔吐し、誤嚥性肺炎で亡くなってしまった人がいました(その方は基礎疾患があり呼吸に余力のない方でした)。口の中に垂れ込んだ血液はティッシュなどにだしましょう。
また、ティッシュや綿球を詰めて圧迫することもありますが、自宅でそれを行うとさらに鼻粘膜を傷つけたり、奥の方へ入って取り出せなくなったりする場合がありおすすめはしません。
鼻出血の患者さんが救急外来へきたらどういう処置が行われるでしょうか。
私が鼻出血の患者さんの救急車を受け入れる際は、救急隊に鼻の圧迫をしながら搬送してもらいます。そうすると来院時ほとんど止まっていることがあります。止まっていなければ、患者さん本人に自分でしばらく鼻を圧迫してもらいます。その間に問診を行い、情報を集めます。10分ほどしてそれでもなかなか止まらないときはガーゼを鼻に詰めておきます。救急外来には血管収縮薬に浸したガーゼを常備しているところもあります。たいていの鼻出血はこれで止まります。出血がおさまっているようならガーゼを詰めたまま帰宅とし耳鼻科へ紹介します。耳鼻科では詳細な鼻腔内の観察と焼灼止血が行われます。
多くの場合、鼻血は単発です。何度も繰り返す場合は何か病気が隠れているかもしれません。内科、耳鼻科で調べてもらいましょう。鼻腔腫瘍のように鼻に問題があるかもしれないし、白血病のように血液に問題があるかもしれません。
まとめます。鼻出血の際はうつむいた状態で小鼻を5-10分押さえます。病院に来てもまず行われるのは圧迫止血です。血液は飲まないようにしましょう。気持ち悪くなります。
最後に日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会のホームページリンクを貼っておきます。私の解説の100倍分かりやすく、勉強になりそうです(笑)。
鼻出血-意外と知らない|耳鼻咽喉科・頭頸部外科 (jibika.or.jp)