急病

熱中症

自分が子供のころより夏の暑さが増している気がします。こんなに暑い日が続いたでしょうか。子供だったから気にならなかったのでしょうか。

仕事柄ですが、毎年熱中症の患者さんに出会わないことはありません。必ず遭遇します。

昔は用語が乱立して混乱していました。熱痙攣、熱射病、日射病、熱失神、熱疲労など熱中症の他にも関連する用語がありあいまいさを残していました。分かりにくいこともあり、2015年から”熱中症”に呼び方が統一され、重症度に応じてⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度に分類されることになりました

2024年にガイドラインが変更となりⅣ度(最重症)が加わりましたが、一般の方はⅠ度~Ⅲ度で考えてもらって支障ありません。

そもそも熱中症とはどういうものでしょうか。ガイドラインでは「諸熱環境における身体適応の障害によっておこる状態の総称」とあります。ちょっと難しいので簡単に言いますね。

熱中症とは”暑い環境にいたせいで具合が悪くなったもの”です。

暑い環境にいた人がたまたま脳梗塞とか、急性胃腸炎とか、てんかん発作など他の病気を発症する可能性もあるでしょう。しかし、暑い環境にいた人が具合が悪くなった場合、基本的には熱中症を考えます。

現場では何ができるでしょうか。まずは涼しいところに移動させましょう。経過観察をするにしても水分を摂らせるにしても、暑熱環境に身を置いたままでは改善しません。次に冷却です。冷たいペットボトルやアイスパックを体に当てます。この時比較的太い血管の近くを冷却すると血流によって効率よく全身を冷却することができます。具体的には頸部、脇の下、足の付け根(鼠径部(そけいぶ)といいます)です。本人の意識がしっかりしていれば、冷たい飲み物を飲ませましょう。

飲み物は水道水よりも多少塩分や糖分が入ったものが良いでしょう。スポーツドリンクがあれば水よりも良いと思います。ベストは経口補水液です。具体的な商品名だと「大塚製薬のOS-1 」、「味の素のアクアソリタ」、「明治のアクアサポート」などがあります。

自宅で即席で作るなら”水1L+塩2g+砂糖30g”でほどよいものが作れます。

(数字が1・2・3で分かりやすいですね。)

救急車を呼んだ方がいいのは本人の意識が悪い場合です。呼びかけに反応が乏しいとか、いつもと様子が違うか、目が合わない場合は救急車を呼んで下さい

先述の初期対応をして具合が良くなってくれば家で様子を見て構いません。具合が良くならないなら医療機関を受診しましょう。

色々書いてきましたが、治療よりも予防が大事です。これはどんな病気やケガもそうです。医療現場の人間として声を大にして言いたいです。予防に関しては特別な方法があるわけではありません。日傘や帽子を使うとか、風通しの良い衣服にするとか、こまめに水分や休憩をとるとか、エアコンを使うとかそういったことです。

厚労省による熱中症予防のためのサイトがありますので参考にしてください。気象庁や消防庁のサイトにも飛べるようになっています。

熱中症を防ぎましょう | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)

長くなりましたが、まとめます。暑い環境にいて具合が悪くなったのなら熱中症が考えられます。意識が悪ければ救急車を呼びますが、そうでなければいったん涼しい場所へ移し、冷却と水分補給をさせましょう。

最後におすすめの経口補水液を以下に紹介しておきます。

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qqbouzu
地方で救急科医として働いています。