目の前で人がけいれんしていたら救急車を呼んで下さい。僕たち医療者は見慣れていますが、普通びっくりしますよね。けいれんとは「全身または一部の筋が自分の意志と関係なく発作的に収縮すること」です。足がつった場合もけいれんに含まれてしまうのですが、ここでは意識を失って全身がぶるぶるしている状態をイメージしてください。
原因としててんかん、髄膜炎、脳虚血、低血糖、電解質異常など様々なものがあり、救急外来ではこれらの鑑別(症状の原因を考え、追究すること)していきます。しかし、病院前の現場では困難ですしできることは限られています。
まずすべきは安全確保です。周りに倒れる可能性のある家具やストーブなどはないでしょうか。料理中、火を使っているときに発症する方もいます。路上であれば車が来ないところまで急いで避難させる必要があります。
舌を嚙まないように口にタオルを入れるという教えがありましたが、現在ではやらない方がいいということになっています。窒息をしたり、指を噛まれたりするリスクがあるからです。安全を確保し救急要請をした後は基本的に見守ることしかできません。
ただ、見守っている間に行って欲しいことがあります。
1つは嘔吐に注意することです。けいれん後もしくはその最中に嘔吐する方がいます。本人は意識を失っているので、窒息するリスクが高いです。嘔吐した際は体を横向きにして、吐物が外へ流れ出るようにしてください。
もう1つは、けいれんの様子をよく見ておいてほしいということです。皆さんは貴重な目撃者です。いつ、どのようにけいれんが始まり、どれくらい続いたのかを救急隊に申し送らなければいけません。口頭の説明でもかまいませんが、スマートフォン等で撮影しておくと客観的ですし、時間も記録に残ります。ただ、全く知らない他人を撮影していると誤解される可能性がありますので注意してください。
まとめます。けいれん発作に出くわしたらまず自分のその人の安全確保をしましょう。救急車を待っている間に、嘔吐に注意して様子を見守ってください。発症時間やけいれんの様子、持続時間を救急隊に伝えてください。