雑記(医療関連)

親からの最後の教え

皆さんは自分の親から色々なことを教えてもらったと思います。この世界の理(ことわり)から、社会のルール、人としての生き方、遊び方など本当に色々です。

もし、皆さんの親が亡くなっているなら、最後の教えはなんでしたか。

人によって答えはばらばらでしょう。

「えー、なんだろう」と、答えが出ない人もいるでしょう。

私は親が送る最後の教えは「死」だと思うんです。

「死」って普段なかなか考えないじゃないですか。不治の病に侵されているとか、自分がもうまもなく寿命を迎えるといったことがない限り考えないと思います。

「縁起が悪い」という言葉があります。肉親の「死」の話は避けられがちです。しかし、「死」は必ず訪れます。人生何があるかわかりません。でも人が死ぬ確率は100%です。

確固たる死生観を持つ人がどれくらいいるでしょう。多くの人は「死」について普段考えません。

ところが親が死ぬと強烈に「死」と直面させられます。

悲しい、寂しい、辛い、といった感情が沸き起こります。それだけでなく、人生ってなんだとか、生きる意味ってなんだとか、色々考えさせられます。

辛いですね。でもこれが親から子への最後の授業なのだと私は思います。

「人はこのように衰え、死に向かい、そしてある時最期を迎えるのだ」という現実をみせているのだと思います。

肉親の死は強烈に感情を揺さぶります。ああすればよかった、こうしてあげればよかった、自分の子供には◯◯を伝えておこうなど色々な気持ちや考えが湧いてきます。それは辛いこともありますが、自分の人生や他人との接し方を見直す機会にもなり得ます。

小さな子供にとっての祖父母の死も同様です。子どもは子どもなりに、人はいつか死に、死んだらもう会えないことを学びます。これは貴重な人生の授業です。

(無論、今回は不慮の事故や事件による死亡ではなく、歳を重ねた結果としての死を想定して記事を書いています。)

親の死は「死」について考え、向き合う良い機会です。親がその身をもって示した最後の教えをしっかり噛み締めてください。そして、自分が死ぬまでの残りの人生をどう生きるのか、死が近づいてきたらどう向き合うのか、次世代の者に何を伝えておくのかよく考えてみてください。

特に延命について一度は考えておいて欲しいです。

人は徐々に衰えていきます。そして最終的に人の死亡率は100%です。

人工呼吸器、心臓マッサージ、強心剤や昇圧剤、輸血、透析など。

時間とともに衰えていく体で、いつまで、どこまで頑張りたいですか。答えは皆さん次第です。

ABOUT ME
qqbouzu
地方で救急科医として働いています。