???・・・。
しかおは一瞬理解ができなかった。完全にやられると思ったからだ。何が起きているのかもわからないまま立ち上がり距離を取る。一方、甲冑の男はしかおを見失ったようだった。そもそも盲目なので見えてはいないのだが。
「なぜ?なぜ奴は一瞬俺を見失ったんだ。」
2人の間に静寂が訪れる。すると、甲冑の男がしかおを認識したようだ。体をしかおに向け、歩こうとする。
「ラッキーだったな。だが、ラッキーは2度続かない。」
2人の距離が徐々に縮まる。
「考えろ、考えるんだ。あいつは間違いなく俺を見失った。視覚がないにも関わらず正確に俺の位置を、挙動をすべて把握できていたあいつが・・・。」
しかおは思考をフル回転させた。とどめを刺されそうになったあの瞬間を思い出した。
「相手の攻撃を受け、後退し、甲冑の頭部に足を取られて・・・からんからん・・・。ん、からんからん・・・。そうか!」
しかおは盲目の相手がなぜ敵であるしかおの動きを把握できるのか理解した。
「まだ勝機はある。」
「何をごちゃごちゃ言っている。もう逃さん。」
「わかったぜ、お前の秘密がな。」
そういって、しかおは前に出る。腹部の痛みも和らいできたようだ。しかおが身をかがめてタックルを仕掛ける。相手がそれをみて身構えた瞬間、しかおは突然切り返し、2人のそばに落ちている甲冑の頭部へ向かった。そしてそれを勢いよく蹴ったのだった。