小説(マンガ化希望)

第14話 最初の男

3人は塔の下にたどりついた。塔は灰色のブロックでできており、比較的新しい。西洋風の赴きがあり、てっぺんには旗がなびいている。入口付近に人はいない。3人は慎重に入口に近づいた。入口は鉄製の扉で重そうだが、施錠はされていないようだ。藤依がゆっくりと扉を開ける。

塔の中は薄暗く冷たい空気が流れていた。中央に広いスペースがあり家具や装飾品は見当たらなかった。奥にあといくつか部屋があるようだ。右奥に通路があり、階段の一部が見える。上の階に行くにはそこを通る必要がありそうだ。

「くっ、くっ、くっ、やっと来たか。」

3人が中に入ると暗がりから男が歩いてきた。

「俺の名は武井。伊林様の部下だ。お前たちが来るのはわかっていた。あまりに遅いんで待ちくたびれたぜ。びびって前に足が進まなかったか。」

暗がりで目が慣れてくると徐々に相手の姿がはっきり見えるようになった。武井は細身だが、筋肉質で引き締まった体をしているのが服の上からでもわかる。アスリート体型だった。皮膚はやや日焼けしていて色黒だ。

「お前のボスはこの上か。」やまじが聞く。

「伊林様は最上階にいらっしゃる。」

「やけに素直に教えてくれるな。」

「そうだな。教えても問題ない。お前たちはここで死ぬんだからな。特にお前は弱そうだ。一番最初に殺してやろう。弱いやつから死ぬのは世の道理だ。」

「なにを。先生、こいつは俺が引き受けますから先に上の階に行ってください。」

やまじは前に進み、階段を指さした。呼吸を整え戦闘モードに入っている。全身から闘気が滲んでいた。

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qqbouzu
地方で救急科医として働いています。