総論

病状説明に入ろう

「病状説明するからお前も入ってくれ。」

患者さんに病状説明する時に、研修医をほとんど必ず立ち会わせる上級医がいました。当時はそのありがたさがわからずなんとなく立ち会っていましたが、今ではすごくありがたかったと思います。研修医の皆さん、色々な上級医の病状説明に立ち会ってください。

今回は、私が病状説明の立ち会いを強くおすすめする理由を書いていきます。

1.疾患に対する理解が深まる。

病状説明では、医師から患者やその家族に患者さんの病気の解説、具体的な治療の説明などがあります。非医療者に対して説明されるのでとても噛み砕いた説明がされます。それが初期研修医の病気の理解にも役立つのです。場合によってはホワイトボードなどに図解して説明してくれる先生もいます。

2.話し方の技術が学べる

病状説明は医師なら誰でもできますが、ただ単にできるのと、上手にできるのは違います。病状説明は正直に言って、上手い下手があります。相手の目を見て、寄り添いの言葉をかけながら分かりやすく話す必要があります。病気やケガをしてしまった人に話をするわけですから共感力が求められます。相手の理解度に応じて話の内容をアレンジする必要があります。相手の様子、リアクションを見ながら話を進める必要があります。医学の講義ではないのですから、病気についての説明も濃淡を付ける必要があるでしょう。こういったところは教科書では絶対学べません。医療は知識の非対称性が大きいです。つまり、医療者と非医療者では知識の差が大きく、理解が難しいということです。話が難しいと患者さんは何を質問したら良いかも分かりません。よくわかっていなくても、「わかりました、先生におまかせします。」と言います。説明がいまいち下手な先生で、医師が退室した後に患者に看護師が追加説明をするという光景も見たことがあります。研修医は上級医の話し方とそれを聞いている患者のリアクションを客観的に見られます。自分だったらどう話すか考える良い機会だと思ってください。

3.病状説明の仕方を学べるチャンスはもうない

研修医が病状説明を一人で任されることは基本的にないと思います。ところが、医師3年目からは一人でやることが多いです。上級医と一緒に病状説明に入るということがなくなります。ですから、3年目からの病状説明は独学というか、我流にならざるを得ません。当然フィードバックもありませんから、上手下手もわからないまま引退まで過ごすことになります。フィードバックを貰う機会があるとすれば同席してくれている看護師さんでしょう。看護師さんは色々な先生の病状説明に入っていますから比較ができます。仲の良い看護師さんがいたら、自分の病状が分かりやすいか聞いてみると良いと思います。非医療者の家族に対して説明する練習をしても良いかもしれませんね。

ということで、病状説明の機会があれば積極的に参加しましょう。2年間はあっという間。ぼーっとしていたら病状説明に参加できる機会はそんなに多くないかもしれません。病状説明に入った時は言葉の内容だけでなく、表情や間など文字情報では分からない非言語コミュニケーションに注目しましょう。

ABOUT ME
qqbouzu
地方で救急科医として働いています。