けが

刺さった

高校生が刺したとか、刺されたとか悲しいニュースが最近続きました。また、つい先日は大阪で5歳の子どもが背中を刺されたというニュースもありました。胸が痛みます。

救急外来では色々な「刺さった」を見ることがあります。

軽傷では木のささくれとか釣り針とか。重症では包丁や鉄パイプなどです。鋭利なものが刺さってできたキズを刺創(しそう)といいます。鉄パイプなど鈍的なものが刺さってできたキズを杙創(よくそう)と言います。

小さなトゲや木のささくれ程度であれば抜いておしまいですね。病院受診の必要はありません。傷口はよく洗ってください。皮膚の下に砂粒や木片などが残ってしまう場合は感染のリスクですので、できるなら取り出した方が良いです。皮膚の下に異物が残るなら病院へ行って良いと思いますが緊急性はありません。夜中に受診しなくてよいです。

待てれば平日日中に皮膚科を受診します。辛くて待てないとしても日中の外科系当番医(できれば皮膚科)の受診をおすすめします。

皮膚科外来にはとげぬきがや皮膚を拡大してみる機械があります。

病院に来てもごく小さいものは取り出せないことがあり、その場合は経過観察になります。異物に対する反応が起こり、分解されたり自然と押し出されたりして出てきます。

警視庁のサイトにトゲが刺さったときの便利技として5円玉を使ったやり方が紹介されていました。これで抜けてしまえば病院へ行かずとも話が済みそうですね。

https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/saigai/yakudachi/life/tips/1100197504652595201.html

釣り針は返しがあるので抜くのはしんどいですね。ただこれも現場で抜けてしまえば問題ないでしょう。感染のリスクはありますが、糖尿病があったり、免疫抑制剤を飲んだりしていなければ大丈夫だと思います。石鹸を使っていいので傷口はよく洗ってください。抜けない場合はそのままというわけにもいかないと思うので時間外でも病院へ行って下さい。外科系の先生がいるところが良いと思います。

病院に来た場合は医師が「えいやっ」と針を抜きます。局所麻酔を使用するかどうかは状況次第です。局所麻酔を使用する場合も1度は痛い思いをしないといけません。

考えたくありませんが、包丁が刺さったとか鉄パイプが刺さった場合は救急車を呼んで下さい。その際に大事なのはその刺さったものを抜かないことです。もし血管を貫いている場合、その貫通物がまだそこにあるから血がどばっとでていません。これを抜いてしまうとたちまち出血してしまいます。「穿通性異物は現場で抜くな」が原則です。あとは、その刺さったものがぐらぐら動かないようにしてください。ぐらぐらしたら当然皮膚の下で組織を傷つけます。

まとめます。小さな木片やトゲ程度であれば自宅で抜いて傷口をよく洗って終了です。その後もキズは清潔にして下さい。釣り針など小さな金属片が刺さった場合、抜ければ洗浄して圧迫止血して終了ですが、難しければ時間外でも受診して抜いてもらいましょう。どんな場合でも異物が残ったり、その後傷口が赤くなったりしている場合は医療機関を受診してください。ある程度の大きいものが刺さった場合は救急車でも良いと思います。現場では抜かず、動かないようにして下さい。

ABOUT ME
qqbouzu
地方で救急科医として働いています。