各論

切断外傷

指が多いですが、たまに腕、足もあります。ビジュアル的にもドキッとするものがあり嫌なものです。手関節や足関節から先ならば出血生ショックに至らないかもしれませんが、より中枢ではその可能性があります。へたをすれば失血死です。四肢の切断で手関節、足関節より近位なら救命センターへの搬送が良いと思います。そうでなければ、二次病院でも対応可能でしょう。この記事を読んでいる若手の先生も遭遇することがあるかもしれません。

救命センターには救急医がいますし、バックには各科の先生方が揃っていることが多いでしす。今回は二次病院の外来で切断症例を受け入れた場合の対応です。最初は怖いかもしれませんが、初療医がやること(できること)は限られています。慣れれば難しいことはありません。

  • 1.受け入れ

まず受け入れですが、整形外科医のバックアップがある状態で受け入れましょう。受け入れた結果、整形外科医が対応できないとか、自分の施設では再接着ができないとかでは困ります。その後の対応が後手後手です。特に再接着は時間との勝負です。

  • 2.止血

大抵は切断面が被覆・圧迫されて搬送されます。動脈性出血がある場合はターニケットが巻かれています。まずは止血されているのか、まだ活動性に出血しているのか確認しましょう。もちろん、出血があれば圧迫して止血します。圧迫だけでしのげないなら血管の結紮や電気メスによる凝固止血を行います。切断は精神的にダメージが大きいですが、止血さえできれば命を落とすことはありません。

  • 3.検査

手術になる可能性を考慮して血算、生化(感染症含む)、凝固、血液型、クロスマッチをオーダーします。ルート確保をしつつ、鎮痛薬、抗生剤(CEZ)を投与します。迷走神経反射を起こすかもしれないのでアトロピンも用意しましょう。徐脈と血圧低下があればアトロピンを使用してください。慣れていなくて使うのが怖ければ怖ければ半筒ずつ投与でよいです。創部汚染があれば破傷風トキソイドを投与します。画像は患部のレントゲンを取りましょう。切断された指や手もそばにおいて一緒に撮影します。

  • 4.整形外科コール

ここまで進めたら整形外科をコールします。あとはお任せすれば大丈夫です。整形外科医が多忙の時は、創部の洗浄まで頼まれることがありますが、そこは自分の専門や力量次第です。ケタラールなどを使って鎮静と鎮痛を図って洗浄しても良いし、ブロック麻酔をして洗浄してもよいでしょう。

以上となります。大切断でなければ血液がビュービュー出て、みるみるショックになることはありません。落ち着いて初期対応すればやることは少ないです。むしろ、その後バトンを渡される整形外科の先生が大変です。

私は若い頃一度指の再接着の手術に入らせていただいたことがあります。骨をKワイヤーで接合して、腱縫合をして、マイクロを使って神経縫合と血管縫合をして、軟部組織を寄せて、最後に皮膚を縫ってという感じで、すべての手技がつまったような手術でした。「のメドレーリレーやー」、と心の中で思いました。指一本つけるのに多大な労力です。

せっかく、指をつけても、壊死して脱落したり、うまく機能しなかったりすることもあります。邪魔になったり、慢性疼痛のもとになったり、「これなら無い方が良かったよ。」と患者に言われる残念なケースもあるそうです。手術も大変だし、その後も管理も大変です。患者さんの人生が大きく変わるのでできれば再接着してあげたいですが、なんでもかんでもというわけではないようです。その判断も含めて整形外科医に委ねます。非整形外科医が安易に、再接着できますとか、できないですとか言うべきではありません

ただ、再接着の適応として以下の項目があるので参考にしてください。

・母指の切断(母指がないとものがつまめません。)

・複数指(QOLを大きく損ねます。)

・小児(これからの人生が長いです。)

上記の場合は特に再接着可能な体制かどうか、よく確認しましょう。

というわけで、今回は指の切断の対応でした。手足はなかなかないですが、指は意外と診る機会がありますよ。慌てず対応しましょう。

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qqbouzu
地方で救急科医として働いています。