人工呼吸器というのは1つの大きなテーマだと思います。研修医からしたらちんぷんかんぷんですよね。科によっては関わらない先生も多いので、研修医でなくてもとっつきにくいかもしれません。
救急外来では呼吸不全や循環不全を呈するような重症患者に出会います。
人工呼吸器のモード選択や細かい設定調整は大事ですが、そもそも“人工呼吸器を導入すべきかどうか”という判断がまずできなければいけません。
眼の前の患者に対して人工呼吸器が必要でしょうか。ただちに気管挿管が必要でしょうか。今回はどのような場合に人工呼吸器を考慮するのか考えてみましょう。成書に色々なまとめ方がされていますが、今回は私オリジナルの整理法で解説します。
適応は以下の4つの場合です。
1.気道確保が必要
2.酸素が足りない
3.二酸化炭素がはけない
4.呼吸筋が疲弊してしまう
1つ1つ見ていきましょう。
1.気道確保が必要
例えば重度意識障害があり舌根沈下している場合、急性喉頭蓋炎や咽頭腫瘍、気道熱傷で気道が閉塞してしまう場合です。チューブを通してしまえば気道確保できます。
2.酸素が足りない
例えば肺炎、心不全、肺血栓塞栓症などの場合です。人工呼吸器では高濃度の酸素を投与でき、肺に送る空気の圧や量も調整できます。まずは酸素マスクによる酸素投与ですが、それでも酸素が賄えないなら人工呼吸器が必要です。
3.二酸化炭素がはけない
例えばCOPD急性増悪、薬物中毒による低換気、頸髄損傷による呼吸筋麻痺です。人工呼吸器で強制的に換気すれば二酸化炭素がはけます。
4.呼吸筋が疲弊してしまう
例えば、ショックの場合です。肺が正常であっても、循環に問題があれば末梢が酸素不足に陥っています。それを代償しようと呼吸が荒くなります。血液ガス分析で一見してデータが正常でも荒い呼吸や頻呼吸で補っているのならば要注意です。ある時を境に代償が効かなくなり呼吸が破綻します。
いかがでしょうか。気道確保、酸素、二酸化炭素、呼吸筋疲労というキーワードを覚えておけば人工呼吸器の適応がわかりやすく整理できるのではないでしょうか。2~4はNPPVでも良いかもしれません。
専門医レベルの先生からは細かいつっこみが入ってしまいそうですが、若手の先生たちはこのようにざっくり整理したほうが分かりやすいのではないでしょうか。
参考にしてください。