急病

めまい

めまいってどうしてめまいって呼ぶんでしょうか。

めまいが起こると体がふわふわするような、世界がぐるぐるするような、そんな感じがして体の平衡感覚を保っていられません。患者さんの目をみると上下や左右にぴくっ、ぴくっと動いています。

めまいの語源は一説によると“目舞い”だそうですよ。

患者さんは身の置きどころがなく、立つことすらままならないので救急車で搬送されます。めまいで動けなかったら救急車を呼んで良いと思います。そのまま頑張って歩いてきたり、車を運転したりするほうが危険です。めまいがあるのに車を運転なんてぞっとします。絶対にやめてください。

めまいを発症した場合の病院受診はどのように考えればよいでしょうか。めまいと言っても脳梗塞のような緊急性の高いものからそうでないものまで幅広くあります。症状が強くて動けないようなら救急車を呼ぶとして、それ以外は?症状が軽めでちょっと気になるくらいの場合は?

と、その前に。めまいという主訴に対して医師がどのように考えているのか軽く説明したいと思います。

実は、めまいの患者を苦手にしている医師は少なくありません。めまいは色々な症状と一緒に不定愁訴として訴えられることがあります。また、めまいという言葉に色々な体調不良が含まれています。なんとなく頭が重い感じがするとか、なんとなくふらつく、立ちくらみがするという場合も「めまい」と表現される場合があります。

次に、原因が多岐にわたります。ざっくりわけると、中枢性(脳梗塞など脳の障害)と末梢性(平衡感覚を司る耳の問題)、その他があります。その他の疾患がなかなか多く、単なる低血圧、低血糖、貧血でもくらっときますから、それをめまいと訴えることもあります。不整脈、更年期障害、電解質異常、心身ストレス、薬剤性など思いもしなかったものが原因の場合もあります。

めまいの原因は様々ですが、特に緊急性が高く見逃せないのが脳卒中です。脳卒中には脳出血、脳梗塞がありますが、脳梗塞の診断はMRI(CTより時間がかかる)撮影がほぼ必須です(絶対ではありませんが)。

「めまいが主訴かぁ。脳梗塞の見逃しはなんとしても避けたいから頭のCT検査をして出血がなかったら、頭のMRIまで撮るか。」ということを医師は考えています。

でも、「めまい患者に頭のCT、MRIをルーチンで撮るのって、なんか考えなしだよな。患者の病歴や身体所見から不要な検査は省いて診断できないか。」とも考えます。

診療をしていて、“とりあえずビールみたいな感覚”でとりあえずCTとかとりあえずMRIなどと言っている医者は診療能力が低いのです。

そもそもMRIが撮影できない医療機関だってありますから。

でも、症状が軽くても小さな脳梗塞が見つかることがあります。検査不要という判断を下すのも勇気がいることなのです。

とまぁ、つらつら書きましたがめまい診療はちょっと難しいのです。

さて、病院受診をどうしたらよいかという話でした。医師には専門がありますから、原因が自分の専門領域でないと実力が発揮できません。

耳が原因のめまい患者が耳鼻科に行くのはいいんです、脳出血が原因のめまい患者が脳外科に行くのはいいんです、月経過多からくる貧血が原因のめまい患者が婦人科に行くのはいいんです。ただ、うまく専門科にたどり着けるとは限りません。というか、患者さんが決めるのは土台無理な話です。

めまいがある場合、患者さんはどこへ行けばいいのでしょうか。

まずは内科に行くしかないと思います。内科も消化器とか循環器とか細分化されていますから、臓器別ではなく一般内科、総合内科が良いと思います。臓器別内科の中では、神経内科がめまいをよく見ているので、一般内科、総合内科が近くにないなら神経内科でも良いと思います。

めまいをよく診療科として忘れてはならないのが、我々、救急科です。救急科もめまいをよく診療します。我々のところへ運ばれてくる患者さんは症状が強いことが多いので、頭の検査はほぼルーチンで行います。MRIまで撮ってしまうことが多いです。

緊急度はどうでしょうか。つまり、夜中でも病院に行ったほうがよいのか、です。

これは申し訳ないですが、なんとも言えない。症状の強さで区別できないんです。脳卒中でも症状が軽いケースがありますし、命にかかわらない病気でも症状が強い場合があります。

少なくとも、ろれつが回らないとか、麻痺があるとか、脈が乱れている場合は緊急受診が必要でしょう。

まとめます。めまいが強くて動けないならもう救急車を呼んでよいと思います。ろれつが回らない、麻痺がある、脈が乱れているなどの場合も救急車でよいです。通常受診する場合は、総合内科、一般内科、神経内科が良いでしょう。症状が軽くても車の運転は避けてください。協力者がいた方が良いです。

もちろん、貧血が指摘されているとか、メニエール病などのめまい疾患の診断がされていて、「今回も同じ症状」なのであれば、かかりつけへ行ってもらってかまいません。

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qqbouzu
地方で救急科医として働いています。